□硬化療法□



【硬化療法】
古くから行われてきた腐食療法が、痔核に濃厚な腐食液を注入して壊死脱落させる療法であるのに対して、硬化療法はより濃度のうすい注射液を使用することで出血症状を改善させ、腐食療法の持つ肛門狭窄や注射後の激痛などの後遺症が生じない方法として、1970年代からわが国でも行われるようになりました。
当初、様々に試行されましたが、結果として 5%フェノールアーモンド・オイルが選択され、1976年には製品化(商品名: PAOSCLE)され現在も使用されています。
硬化療法の方法は、歯状線の上方に存在する内痔核(この部分は痛みを感じない)に針をさし、その痔核内を通して痔核の上極まで針先を進めます。 そして注射器の内筒を引いて血液の逆流が無いことを確認し、注射薬剤が歯状線に至るまで粘膜下に薬液を注入します。 パオスクレーの効果は痔核の脱出に対しては効果が認められないものの出血には極めて有効とされています。 しかし、その効果は永久的なものではなく、約半数においては9ヶ月以内に再出血が認められるようになります。

病理学的に検討すると、注射直後は注入された油は血管周囲の間質に沈着し、パオスクレーの油による空砲を形成します。
このため血管は周囲から圧迫されています。
そして3〜4週間後には血管壁は針金の輪(Wireloop)状に層状を肥厚する膠原線維の増生で内腔が狭窄化し同時に間質の線維化が目立つようになります。
しかし、9ヶ月後には血管壁には側副血行路としての新生血管が多数見られるようになってしまいます。

下の写真は、 硬化療法前と硬化療法後の顕微鏡写真です。
で示されている血管が、で示される油滴と、間質の繊維化によってつぶされて狭小化した血管が見られる。


【医学論文】
隅越幸男,岡田光男,高野正博:痔核に対するSclerotherapy-PAOSCLEの硬化を検討して-.日本大腸肛門病会誌 23:34-48,1971



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