
【癌の治療と痔の治療】
直腸癌の治療の場合、必要とあれば肛門まで取ってしまって人工肛門を作ることがあります。
この場合、肛門の機能がなくなって患者さんは著しい不利益をこうむるわけですが、その犠牲の代償として患者さんは命という大切なものを得ることができます。
これを痔の治療の場合に置きかえるとどうでしょうか。
排便後に痔核が脱出して手で押し込まないと戻らないという不便さとひきかえに、治療後肛門が狭くなって便が出しにくいという不利益が生じれば、患者さんにとって不満足な結果となってしまいます。
これは、痔核が良性の病気(直接命に関わることのない病気)だから、その治療でこうむる不利益はより少ないことが要求される宿命にあるからです。
どのような治療法でも、治療による利益と不利益(後遺症や副作用など)があります。
さまざまな治療法の利益と不利益を天秤にかけてみて利益のほうに傾けば、その治療法は妥当なものとして生き残ることができます。
さもなければ、より不利益の少ない治療法にとって変わられる運命になるわけです。
そういう観点からして、腐食療法は痔核の治療法として中心的な地位を得られなかったものと言えましょう。
また、腐食療法は現在でも医療保険適応の治療法としては認められておらず、そこで使用されている薬剤も「秘伝」として伝承されているもののため、多くの医師に認識され採用される治療法としては確立しにくいのも事実です。
|