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【PPH手術】 従来の痔核の脱出を治療する方法は主として切除や壊死させる(腐らせる)ことによって痔核を取り除く方法でした。 一方PPHは、脱出する痔核より奥にある直腸粘膜を専用の器具を用いて環状に切除し吻合(縫い合わせる)することによって痔核に直腸側から流入する血流を遮断すると同時に、脱出している痔核を吊り上げて固定することによって、痔核の脱出や出血の症状を消失させようとする原理的に全く異なった手術方法です。 ![]() ![]() A余剰の粘膜をPPH吻合器の中に引き込み、環状に切除するとともに縫い合わせる。 B脱出しした痔核は内部(口側)へ引き上げられ、本来あった位置に戻る。 PPHでの治療が適している痔核は以下のとおりです。 PPH法に適する症例 1)3度の内痔核(排便時などに内痔核脱出し手で押し込まないと戻らない)、および4度の内痔核(内痔核が常時脱出している) 2)ホワイトヘッド手術後の直腸粘膜脱 3)肛門機能障害の小さい不完全直腸脱 PPH法に適さない症例 1)一部だけにかたよった痔核 2)外痔核の大きな痔核 3)痔瘻や裂肛などが併発している痔核 4)肛門が狭い痔核 PPH法は痛みを感じない直腸の粘膜を切除していることにより、手術後の痛みが少なく、入院期間も短くすむのが最大の特徴です。 しかし、痔核の大きさや形に関わらず画一的に直腸の粘膜を切除することや、切除部位が粘膜だけにとどまらず粘膜の下にある直腸の筋肉の一部まで切除されることなど、当初からその侵襲(患者さんに与える負担)が大きいことが懸念され、その後今までの手術法では経験しなかった重篤な合併症の発生 □直腸膣瘻:直腸と膣の間の壁に穴が開き、膣からガスや便が漏れる。 □直腸穿孔:直腸に穴が開きお腹の中に便が漏れ腹膜炎を起こす。(緊急開腹手術が必要) □直腸閉鎖による腸閉塞:直腸がつまるくらいに狭くなって、肛門から便が出せなくなる。 □骨盤内膿瘍:直腸の周囲の骨盤で化膿して膿がたまる。 □持続性疼痛:手術後いつまでも肛門や直腸の痛みが続く。 を経験し、またその長期間における成績が十分に評価されていないことなど、学会でも賛否両論のある手術法でもあります。 2000例を超える多くのPPH手術を手がけている、東葛辻仲病院の辻仲康伸医師は2005年3月12日の大腸肛門病懇談会(@社会保険中央総合病院)で講演を行いました。 そこでPPHと結紮切除術を、手術後6ヶ月と2年経過した時点で比較して @腸の動きに伴う肛門痛 A肛門からの出血 B排便困難 C肛門の脱出感 D便のもれ Eガスのもれ F患者の満足度 について、両者の間には差がないと発表しました。 また、PPHのdilemma(ジレンマ)として □一定の手技だが異なる結果 1)切除幅と形状 2)筋層の巻き込み 3)吻合の高さ →適応を誤らなければ、術者の区別なく一定の手技で同じ結果が期待できる。 □止血を予確認しようとすればするほど止血縫合を多く必要とする。 →最近発売された新型のPPH吻合器では、止血効果が改善された。 □learning curveが必要、しかしそれ以上上達しない →PPHの操作に慣れるために20例ほどの経験が必要だが、それ以上の経験で上達することは考えられない。 □2年経過すると吻合部が触知できない。(吊り上げ固定の効果が薄れる) との欠点も上げた上、結語として 『PPHは術後5年の観察から見ると、結紮切除法と比較して成績が変わらず3度、4度の手術治療として有用である。2度(排便時などに脱出するが自然に肛門内に戻る)や持続性出血のある1度(肛門内にあって脱出は見られない)の痔核までPPHで治療される危惧があり、熟達した術者が慎重な適応基準を持つことが重要である』 と結論付けました。 また、現在(2005年3月)においても、PPH手術は保険適応の手術法として認可されていないので、導入できない医療機関も多く存在します。 【医学論文】 辻仲康伸、浜畑幸弘、松尾恵五:痔核の大きさによるPPH手術成績の差. 日本大腸肛門病会誌 56:804-810,2003 | ||
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